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法政大学 理工学部 機械工学科 塚本英明研究室


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1. 圧延圧着によるカーボンナノチューブ/アルミニウム複合材料の作製と性能評価

強度・耐熱性に優れているカーボンナノチューブ(CNT)の特性を生かし,圧延圧着による高強度なアルミニウム/CNT複合材料の作製を目的としています.しかしながらCNTの中でもマルチウォールカーボンナノチューブ(MWNT)は,ナノサイズの細長い繊維が絡みあった形状をしており凝集する傾向を示すことから,Al中での分散が容易でないという課題点があります.本研究室では,特にCNTの性能を低下させること無く溶媒への分散を可能とする溶媒の選択・分散方法の検討を行っています.また複合材料の圧延メカニズムを解析シミュレーションにより解明し、最適な圧延条件の推定も行っています。実際に複合材料を圧延により製作した場合、圧延する際に負荷する圧力・圧延回数及び材料の厚さによって圧延後に剥離が生じてしまうため,解析シミュレーションの一つである有限要素法(FEM)解析を使用して圧延メカニズムを解明し、最適な圧力及び材料厚さを推定しています.

2. スラリー遠心力鋳造法による傾斜機能材料の作製と評価

近年,自動車用エンジン部品のピストン部に焼結材が使用される例がみられますが,ピストン部は耐熱性や耐摩耗性が要求されます.スラリー遠心力鋳造法とは、材料粉末を溶媒に混ぜ込んだ液体(スラリー)を型に流し込み、遠心鋳造装置によって高スピードで回転させることにより,材料の密度・粒度の違いによる材料組成の傾斜を実現させる方法です.この方法は,遠心力による連続的な組織傾斜の形成を可能にするため,熱応力緩和に優れた材料の製造が期待できます.本研究では,ZrO2/ SUS304系を材料としたスラリー遠心鋳造法によるFGMsの作製について検討を行い,その熱・機械的性能評価を行っています.

3. マグネシウム基複合材料の作製と評価(放電プラズマ焼結法 (SPS)の適用)

実用金属中最軽量であるマグネシウムを強化するために様々な方法が試みられています.優れた特性を持つカーボンナノチューブ(CNT)を複合化することも注目されています.しかしながら,CNTを入れることによるMgの強度向上は大変困難を伴うことが報告されています.本研究室では,CNT・ジルコニア粒子分散マグネシウム基複合材料を放電プラズマ焼結法(Spark Plasma Sintering, SPS)を用いて作製しています.ジルコニアの微粒子がCNTの分散を大きく改善します.また,MgのSiCウィスカによる強化も試みています.CNT同様に複合材料の機械的性質はSiCウィスカの分散状態に大きく依存します.SiCpをいれることにより,分散状態が大きく改善することも見出しています.加えて,複合材料内のボイド・亀裂を埋める方法も検討しています.

4. 放電プラズマ焼結法(SPS)を用いたセラミックス-金属系傾斜機能材料の作製と評価

セラミックス-金属系傾斜機能材料を放電プラズマ焼結法(Spark Plasma Sintering, SPS)により作製しています.この種の傾斜機能材料は,セラミックス生来の性質により靭性が低い(脆い).そこで,この脆さを克服するために,セラミックスおよびセラミックス基複合材料に用いられる高靭化法を適用します.応力誘起変態を起こす部分安定化ジルコニアを分散させることにより,亀裂先端での応力拡大係数を下げる効果が期待でき,(見かけ上の靭性が上がる),さらに,SiCウィスカを分散させることによりブリッジングによる高靭化を期待できます.このような種々の高靭化機構を有する傾斜機能材料を作製し,熱・力学的特性評価を行っています.さらに理論解析と比較・検討を行うことにより,さらなる高靭性傾斜機能材料の開発を行っています.


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5. 家庭用電子レンジを用いたジルコニア/チタン系傾斜機能材料の作製と性能評価

傾斜機能材料の製作では焼結プロセスが重要です.マイクロ波加熱は,誘電体材料が電磁波エネルギーを吸収することによる自己加熱を基礎とした加熱手法であり,電気炉のような間接加熱を用いた通常加熱法による焼結と比較した場合,昇温速度,熱効率の高さが期待できます.このことからマイクロ波を利用した焼結方法は,省エネルギー,経済性に効果をもたらし,また,電子レンジのような身近な機器で実現が可能のため,汎用性と利便性が期待できます.ジルコニアは耐熱性・遮熱性に優れているため,高性能遮熱コーティング傾斜機能材料への適用が検討されておりますが,この種の傾斜機能材料のマイクロ波加熱による焼結法はまだ確立しておりません.本研究室では,家庭用電子レンジを用いたZrO2/ Ti系傾斜機能材料の作製手法を提案し,作製した試料の熱・機械的性能評価を行っております.さらに有限要素法解析(FEA)結果との比較により,ミクロ的に起きている現象に関する考察も行っています.