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法政大学 理工学部 機械工学科 塚本英明研究室


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塚本研究室webページへようこそ。塚本研究室(構造・機能先進材料研究室)では、先進材料の1つである複合材料に注目しています.複合材料には,いくつかの種類がありますが,中でも金属およびセラミックスを構成相とする複合材料の研究を主に行っています.例えば,複合材料の一種である傾斜機能材料(Functionally Graded Materials, FGMs)と呼ばれる材料があります.材料内の組織・組成をはじめ,それに付随する様々な性質が異なるスケールまたは異なる空間的次元で連続的・段階的に変化して(させて)いる材料です(図1参照).傾斜機能材料は異なる特性を単一の構造で両立させることが出来るため、航空宇宙分野・自動車分野をはじめ,医療分野等においてで既に実用化されてきており,今後様々な分野での活用が期待されている材料です。 以下,最近の研究トピックにおける代表的な複合材料をいくつか挙げてみます.


図1 傾斜機能材料のイメージ図(クリックで拡大)

  1. セラミックス-金属系傾斜機能材料(ジルコニア-チタン・ステンレス・ニッケル合金等)
  2. 金属-金属系傾斜機能材料(アルミニウム,マグネシウム,チタン,ステンレス等)
  3. カーボンナノチューブ強化アルミニウム基複合材料
  4. カーボンナノチューブ強化マグネシウム基複合材料
  5. シリコンカーバイド(SiC)ウィスカ・粒子強化マグネシウム基複合材料
  6. 形状記憶合金(短繊維,長繊維)強化アルミニウム基複合材料
  7. カーボンナノチューブ強化鉛フリーはんだ


 研究方法としては,複合材料設計,作製,評価(3ステップ)のすべてにおいて独自の方法を取り入れて遂行しています.まず,設計に関しては,マイクロメカニックスと呼ばれる,材料のミクロ組織を考慮した解析法を駆使しています.複合材料を構成する相は,種々の形状を有しており,時として分散相,時として連続相というようにその形態もまちまちです.また,形態そのものも時間とともに変化する場合があります.さらに,そのミクロレベルでの(Representative volumeにおける)形態・不均質性の配置を含めたマクロ的な分散・分布状態を考慮した解析も必要になってきます.マイクロメカニックスにおいては,主にミクロレベルでの不均質性を考慮した解析を行い,マクロ的な分布状態に関しては,有限要素法をはじめとする種々の数値解析法を応用することになります.これにより,ミクロとマクロを結びつけるマルチスケール・マルチフィジックスでの解析に基づく複合材料設計を行っています.この材料設計の研究では,数学的な定式化とプログラミング,ソフトウェアの使用が主な仕事となります.
 次に複合材料作製に関しては,粉末成形を主体として,鋳造等様々な方法を用いています.粉末成形においては,後述するように,放電プラズマ焼結法,マイクロ波焼結法など様々な方法を駆使しています.さらに,金属を主体とする複合材料においては,塑性加工を取り入れた新たな成形法を提案しております.塑性加工と粉末成形の一体処理にも積極的に取り組んでいます.
 最後に材料の特性評価ですが,取り扱う材料がミクロ的にもマクロ的にも不均質性を有る材料であるため,独自の評価法を採用することも少なくありません.その場合には当然,既存の定められた評価法との整合性が必要となりますが,これに関しても,上記の解析・設計法を適用することになります.つまり,解析を通してその整合性が維持されるわけです.
 以上,簡単に研究の流れを述べましたが,新しい高性能・高機能な複合材料,また環境にやさしく,社会持続に貢献する複合材料の開発を目標に金属学,連続体力学をはじめとする様々なアプローチを駆使して研究に取り組んでおります.

2020.1.30. Website open
2020.4.01. Member's page has been updated